認知症・もの忘れとは

認知症・もの忘れのイメージ写真

年齢を重ねるにつれ、誰にでも起こる自然な認知機能の衰えを「もの忘れ」と呼びます。これは病気ではなく、老化の一部です。
一方で、「認知症」も年齢とともに増加し、85歳以上では約4人に1人が認知症とされています。

もの忘れと認知症の違い

もの忘れ
体験した内容の一部を忘れ、本人に自覚があります。日常生活への大きな支障はありません。
認知症
体験そのものを忘れ、本人に自覚がありません。記憶障害だけでなく、判断力や遂行能力の低下も見られ、生活に支障をきたします。

このような症状がある方はご相談ください

  • 物の名前が思い出せない
  • 置き忘れやしまい忘れが増えた
  • 意欲が低下した
  • 判断力や理解力が落ちてきた
  • 財布やカードをよく失くす
  • 時間や場所の感覚があいまいになった
  • 同じ話を何度も繰り返す
  • 慣れた道でも迷うようになった
  • 趣味への興味が薄れた
  • 人柄の変化が見られる
  • 映画やドラマの内容が理解できなくなった

もの忘れでよく見られる状態

良性健忘

年齢相応の自然な記憶力の低下です。大切な情報は覚えている点が特徴です。
(例:食べた内容は忘れても、食事をしたことは覚えている)

軽度認知障害(MCI)

認知症と健常の中間段階。認知機能の一部に問題があるものの、日常生活には大きな支障はありません。
早期の対応が進行防止に効果的とされています。

認知症とは

脳疾患や障害によって脳機能が低下し、記憶力・判断力・認識力が損なわれ、日常生活に支障が出る状態を「認知症」と呼びます。
当院では、問診、血液検査、尿検査、認知機能テスト、必要に応じてMRI検査を行い、正確な診断に努めています。
早期発見によって、進行を遅らせることが可能です。

認知症の有病率

65~70歳未満
1.5%
85歳以上
27%(約4人に1人)

認知症の主なタイプ

タイプ 特徴
アルツハイマー型認知症 特殊なたんぱく質(アミロイドβ)蓄積により神経細胞が破壊される。女性に多い。
脳血管型認知症 脳梗塞や脳出血などによる血流障害で神経細胞が死滅。
レビー小体型認知症 脳内にレビー小体が蓄積。幻視や運動障害も出現。
前頭側頭型認知症 前頭葉・側頭葉の萎縮。人格変化や行動異常が目立つ。

認知症の治療法

薬物療法

  • アルツハイマー型認知症では、認知機能低下を遅らせる薬を使用。
  • 脳血管型認知症では、脳梗塞再発防止のための薬物治療。
  • 必要に応じて、抗うつ薬や脳循環改善薬も使用します。

非薬物療法

  • 日常生活に役割を持たせる
  • 回想法(昔の記憶を呼び起こす)
  • 認知リハビリテーション(計算、音読など)
  • 音楽療法、園芸療法、リアリティ・オリエンテーション
  • 適度な運動療法やペット療法も効果的です。